今、樹木葬や永代供養墓で供養される方が増えています。その手軽さが流行の理由、墓石を建てる必要が無いので費用が安く済むのです。しかし、一定期間の後、遺骨は合葬されるケースが多く、先祖や故人の行方が分からなくなったなど、後悔しているという声をよく耳にするようになりました。実際に樹木葬や永代供養墓を選ばれた方は本当に満足しているのでしょうか?経産省公認団体である全国石製品協同組合(以下、全石協)が昨年種類別に実施した「お墓を建てた後に後悔した事のアンケート調査」を基に検証してみましょう。
樹木葬には2つの埋葬形態がある
「樹木葬(じゅもくそう)」は、墓地として認可を受けている樹林の中の樹木をお墓の代わりにシンボルにして埋葬する自然葬の一種です。埋葬の仕方は「土に直接遺骨を埋葬する」、「骨壺の状態で埋葬する」の2つがあります。前者は1本の樹木の周囲に穴を掘って埋葬するためどこに埋めたか分からなくなる場合が多く、後者は小さな納骨堂の中に収納し埋葬者の名前が書かれた蓋をするため場所が特定できるという大きな違いがあります。この『遺骨の所在が分からなくなる』というケースが後々後悔することにつながりそうです。故人を偲ぶときに手を合わせる対象がなくなるということは心の拠り所がなくなり、寂しく思われるのでしょう。
全石協が実施したアンケート結果でも“後悔したことがない”が22.7%前後と低い数値となっています。
永代供養墓は最終的には合葬する
「永代供養墓(えいだいくようはか)」はお寺、霊園がお骨を複数収納する共同墓を建て、家や家族に代わって墓守をしてくれるお墓です。基本的な構造は、お墓の地面から上の部分にお骨安置スペース、地面から下の部分に合祀するスペースがつくられています。
安置スペースでも数年から十数年で合祀スペースに遺骨を移動して合葬するケースがほとんどのようです。この場合は樹木葬と異なり、手を合わせる対象は存在しますので、後悔する理由にはならないと推測されます。
選ばれた方が後悔するとすれば一般的な墓所との比較でしょう。一般的な墓所であれば家と同じように家族だけの空間ですが、永代供養墓は知らない方達との共同の空間です。残された家族の方々が死後も故人と同じ空間に居たいと思われることも少なくはないはずです。
全石協が実施したアンケート結果でも“後悔したことがない”が44.4%前後と決して高くはない数値が裏付けています。
一般墓所は満足度が高い
従来の一般的な墓所は建墓後に後悔するでしょうか。
全石協が実施したアンケート結果でも“後悔したことがない”が2年連続70%以上と満足度が高い結果となりました。
その理由は?前述したように、やはり「手を合わせる対象がある」ということが一番でしょう。そして、子々孫々受け継がれ、同じところに眠ることができます。近年ではそうしたことが重荷と受け取る方が多いのも事実、少子高齢化がすすみ現実と理想に大きなギャップが生じているため一概には一般墓所は後悔しないとは言い切れませんが、満足感が後世まで続く可能性が高いと言えます。
【まとめ】
全石協が実施したアンケートでは、2年続けて従来型の一般墓所の満足度が高く、樹木葬・永代供養墓の満足度が低い結果となりました。特に樹木葬および室内墓については、約8割弱の所有者が何らかの“後悔”をしていることが結果として表れています。
近年、従来の一般墓地が継承者への負担等の理由で選択から外すのがお墓の選びの傾向と言われることよく聞かれますが、永代供養墓などを選んだ所有者が満足していないことから、後悔しないためにも、家族や親戚と十分話し合って慎重にお墓選びを行うべきでしょう。
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